≒ (35.5作目)懐炉入れ20240124

完成形。懐炉を嵌めたところ。
完成形。懐炉を嵌めたところ。

趣味のレザークラフト

0113 (土) プログラミング再開がなかなか進まず、レザクラの構想だけ溜まっていく。
手すさびに小物を作ることにする。数日遊べるだろう。

特に必要に駆られているわけでは無いが、ここ数日寒のさむさが堪えるので懐炉を使っていたところ、何かもう少しちゃんとした入れ物が欲しいとふと思った。

使ってる懐炉:ハクキンカイロ ハクキンウォーマー ミニ 1個入 【保温約18時間】 | ハクキンカイロ | 使い捨てカイロ

直ぐ思いついたのがレザクラで、革が熱でどう変化するのか見てみたいし、最近YouTubeで俺の定番作業=革と木を繋ぎ合わせるのに使えそうなレースの縫い方を発見したのでやってみたいというのがあった。

今回初めて試す縫い方

いつもの手帳の類だとその縫い方が上手く行かなかったときのダメージ(無駄になる材料の量)がデカすぎるから、予行演習の意味も兼ねての小物製作。

一昨日に思いついて頭の中でこねくり回していた。最初は革だけで造ろうと、ハーマンハーネスを贅沢に使って鞘のようなものを作ろうと考えていた。それの方がぴったりサイズに作れるだろう。
けど昨日今日と考えて、今朝それでは面白くない。いつもの「革と木と鉄」じゃなきゃ遊びじゃないと思った。「鉄」は今作は懐炉自体が相当するとして、木が要る。

昼前からストック材料を漁ってみて選定。後ろ側をブヒンガの1枚板で行くことにする。表はハーマンハーネスで行こうと思ったが、それだと当たり前だけど懐炉に沿わないでズレちゃうだろう。
差し込み口は抜き差し出来なきゃいけないから、19.5作目同様のギボシ止めで口を留めようかと思ってる。ストックしたまま眠らせてるスナップロックでも良いか。

問題は今回試したいレースの縫い方は「革を繋ぐ(継ぐ)」縫い方なので今作には合わないこと。今作は「張り合わせる」縫い方が必要。例えば24作目でやった外周縫いの方が合っている。それだと無数に縫い方選べるし。
6作目みたいにボリュームを出すのも面白い。けどそもそもYoutubeで見つけた縫い方の予行演習の意味が大きい今作、他の縫い方では意味がない。
ただ、この縫い方だとマチ?が不相応にデカくなる。どうにかならないかと考えてみたけど無理。まぁ良いか。いつも通り無駄にデカくて重い作品に仕上げるのは別に構わないだろう。

まずいつも通り方眼ボール紙で型紙作り。そしてまずは木じゃなくて梱包材でついてきたMDF材で後ろ側を作って革を宛がって切り出してみる。

(最初の、後に変更を重ねた)型紙。
(最初の、後に変更を重ねた)型紙。

型紙を作って、レース穴を配置してみた。ノッチは1㎝は間延びしてる感じするから7ミリにする。いつもの手帳の縦線と同じ。狭すぎるかな。
但し、今作の縫い方は初めてなので一筆書きは難しそうだ。できそうならやるけど無理だろう。基本、すべての穴が2本通しなのでこれ以上通すのは難しいんじゃないかと思う。

電動ドリルを全穴通し終わって、ハンドドリルで拡げながら思いついたけど、一筆書きしないなら左右は計画通りの新縫い方で、ボトム部分の機能は革を押さえることだから縁を覆う縫い方で良い。
さっきの6作目のボリュームの出る縫い方(トップブレードステッチ)でやってみようか。

「2本紐縫い」のテスト。
「2本紐縫い」のテスト。

0114 (日) 昨夜は2本紐縫い(上の動画タイトルのGoogle翻訳)を試したが、EUヌメだと少し太すぎるようだ。縫い方としては難しくなくて、全穴2重通しなので耐久性が上がりそう。
本ヌメサドルレースにするかと在庫を確認したら、17.5作目を修理するときに外したレースが残ってた。これは自作レースではなくてショップ製レースなので薄い。少しボリューム出すには薄すぎるようにも思うが、材料を余らせたままにしておくのは嫌いなのでここで使ってしまおう。
昼からトップブレードステッチもテスト。良い感じの複雑さだけど、縫う長さが短すぎて文字通り始末がつかない/始めと終わりが上手く処理できない。よって、下辺は全部トップブレードステッチで覆うことにする。

トップブレードステッチのテスト。
トップブレードステッチのテスト。

そうすると曲がる部分がスムーズに取り廻せるので、無理なく一筆書きができる。よし、型紙を作り直して次は木部処理を始める。

型紙が出来たので木部を切り出す。さっきまでブヒンガを使うつもりだったが、もう少し薄い方が良い気がしてきた。紫檀の薄板を使う。
薄すぎて割れるのは困るけど、1枚約300円なのでやり直しが発生しても然程惜しくはない。

割れた紫檀薄板。
割れた紫檀薄板。

18時、穴拡げの段階でやはり紫檀が割れた。数時間の作業が無駄になった。最初の計画通りブヒンガが正解だったわ。

いや、再度選定してみてもっと厚いものにすることにした。余ってる未使用材で候補が2つ。アメリカンブラックチェリーか本花梨。本花梨の方が硬いけど、経年変化が面白いらしいチェリーにする。これも割れるのが少し心配。
材が無駄にならないサイズで、型紙の縦長さを5ミリ削って10㎝にする。元々少し大きめに型紙を作ったから大丈夫。

穴が欠けたアメリカンブラックチェリー板。
穴が欠けたアメリカンブラックチェリー板。

22時、チェリーも穴が割れた。穴間隔が狭すぎる。設計ミスだ。あまり大判にしたく無くて、ノッチではなく穴の横の並び幅を狭くし過ぎていて無理がある。根本的に設計を修正して再度挑戦だ。
更に念のためもっと硬い本花梨に変更。

本花梨の穴を拡げていく様子。
本花梨の穴を拡げていく様子。

0115 (月) 昨夜は型紙作り直し、木部切り出し、穴あけまで終了して寝た。今日はバイト後所用があり、作業再開は遅い夕食後20時半から。とにかくシコシコ穴を拡げていく。時間が掛かる。今日はこの作業だけ。

真っ二つに割れた本花梨。
真っ二つに割れた本花梨。

と思っていたら22時半、穴を4ミリまで広げてる途中で木が真っ二つに裂けた。
クソ。またやり直しかと思ったが、結局同じことやるだけだ。一か八かのギャンブルをまた繰り返すのは馬鹿馬鹿しい。
よって、金属で継ぐことにする。31作目で取った手段。あのやり方は今でも気に入ってる。
ただ、アルミ板はあるのだけど使う金属まで31作と全く同じは面白くない。ストック漁ってみたら25作目のクリップボードで使った余りのカーボンファイバー(CF)の薄板がある。使いにくい小片が残っている。丁度いい。
これを使おう。ここであれ?CFって熱大丈夫だっけ?と思ってググったら耐熱性はかなり高いらしい。よく考えたら航空機なんかにも使ってるもんな。
厚みが結構ある。補強版が飛び出ているのは今作の俺のイメージにそぐわないので、溝を掘って埋め込む。必然的に補強板を留めるネジも埋め込む。

割れた本花梨と31作目の金属補強部分。
割れた本花梨と31作目の金属補強部分。

今晩中にもう目処が立つと考えていたのだけど、結構な長丁場になりそうだ。そもそもは先の土日で終わらせて週明けの月曜=今日にはプログラミングに戻る予定だったのに。
当面は継ぐ部分以外の穴拡げを終わらせよう。まだ割れるかもしれないし。今晩はその作業の途中で寝る。

穴の欠けた部分にレジンを垂らして固める。
穴の欠けた部分にレジンを垂らして固める。

0116 (火) バイト前に割れた時に欠けた部分のレジン埋めは終わらせてある。夕食後20時頃に作業再開。
CF板の切り出しはすぐ終わり、2枚あるうちの1枚の溝掘り、ネジ穴開けも22時過ぎには終わった。

1枚目のCF板の溝堀とネジ止めまで終了の様子。これをもう一枚。
1枚目のCF板の溝堀とネジ止めまで終了の様子。これをもう一枚。

風呂入って寝る。明日はネジ頭が浮いている部分の溝を掘りネジ頭を埋める作業からスタート。その後はもう一枚の補強板の同じ作業をする。
それが終われば木部の最終仕上げをして革の準備。そこまでスムースに行くかな。

0117 (水) バイト後用事、晩飯の隙間時間全て使って溝掘り全て終了。明日は懐炉に沿うよう板の内側を少し抉って湾曲させる。
それが終わったら今日彫刻刀やタングステンバーが滑って付けちゃった傷を含めて表面の仕上げとレース穴の仕上げを終わらせて油を入れたら木部準備終了。

花梨板の抉って湾曲させた部分。
花梨板の抉って湾曲させた部分。

0118 (木) 夕食前から夕食で抜けたの以外はずっと木部加工。内側を懐炉に沿うように湾曲させるために抉って、そこを滑らかに仕上げるのに時間が掛かった。

花梨板の抉って湾曲させた部分を表面から見る。
花梨板の抉って湾曲させた部分を表面から見る。

23時過ぎまで掛って最終磨き、油入れまで完了、と思ったがどう考えても上部に留めベルトが要る。ベルトを留めるのには木部にねじ止めが必要なので油入れまで終わっているけどまた削らないと。
これ以降の革の加工は実際にやってみないとサイズが決まらないので、それぞれ仮縫いして決めていくしかない。仮縫いからそのまま本縫いに入っていくことになる。完成まで後2日くらいかな。

木部オモテ面。溝が二つある。完成するとこの溝は隠れちゃうので記録しとく。
木部オモテ面。溝が二つある。完成するとこの溝は隠れちゃうので記録しとく。

0119 (金) 夕食後用事が終わって遅めの作業再開。先ず革を切り出すのだけど、ポケット状にするので立体的にしなければならないけどそういう加工はやったことが無い。
少し試行錯誤してみても分からないのでまたエイヤでやってみる。ボトムを覆うハーマンツーリングはほんの少し5ミリ程度マチを取る。目分量。

革の切り出しと穴あけまで終了。ボトム部分のハーマンツーリングは少し台形。
革の切り出しと穴あけまで終了。ボトム部分のハーマンツーリングは少し台形。

0123 (火) 先週木曜にPCが届いていたけど、接続用のコード類が金曜に届くまで放置していた。土日月と3日間でデスクトップPC設置設定まで一気にやった。8年ぶりの購入。だいぶん進化して早くなった。
今日は夕食後から少し革の仕上げのヘリ落とし、トコノール塗りなどをやって今作最終段階(予定)のレース縫い開始。
「2本紐縫い」の縦のライン1筋だけで17.5作目からリサイクルの本ヌメサドルレース135㎝では足りない。底辺のトップブレードステッチではもっと使うはず。
在庫漁ったらショップ製の本ヌメサドルレースの新品が2本(各約170㎝)が出てきたのでこれを使っちゃおう。

レース縫い最終段階(裏面)。
レース縫い最終段階(裏面)。
レース縫い最終段階(表面)。
レース縫い最終段階(表面)。

0124 (水) バイト前に30分ほど、バイト後2時間ほど作業やってレース縫い終了。懐炉を差し込んでみたら固く嵌ったので留めベルトは要らないようだ。
よってこれにて完成とする。使い込んでいって隙間が広がって使用中に外れ落ちるようになったら留めることも考えよう。

レース縫い残り数目。
レース縫い残り数目。
縫い終わり完成。懐炉をセットした様子がこのエントリトップ画像。
縫い終わり完成。懐炉をセットした様子がこのエントリトップ画像。

取り合えず今は奥まで入れると固すぎて中々抜けない。小一時間奮闘してみて取れないのでどうしようかと思ったが、ドライバーをそこの隙間に差し込んで抉ったらスッと取れた。
この方法だと懐炉も傷んだりしないので固いうちはこうやって使おう。夕食後に懐炉にベンジン注入して着火して嵌めてみた。それを手にしながらこの文を入力している。ちゃんと温かい。

今作は初めてのレースの縫い方の試作でもあったのだけど、まず「2本紐縫い」は確かに頑丈さは増すのはメリットだけれども、全穴が2本通しであることによるボリュームアップが想定以上だった。

「2本紐縫い」のステッチを横から見る。ボリューム(厚み)が想定以上。
「2本紐縫い」のステッチを横から見る。ボリューム(厚み)が想定以上。

今作は試作ということで余っていた薄めのショップレースを使ったから行けたけど、いつもの自作レースそれも厚いEUヌメからとったレースだとこの縫い方を取り入れるのは難しいかもしれない。
一方ボトム部分のトップブレードステッチはやはり全穴1本通しなので、表面がかなりボリュームが出る割には縫いやすい縫い方だった。

トップブレードステッチの出来上がりの様子。見た目はボリューム感があるけど、実際の厚みはさほどではない。
トップブレードステッチの出来上がりの様子。見た目はボリューム感があるけど、実際の厚みはさほどではない。

ただしこれは「縁を覆う」縫い方なのでいつものバインダーなどの平面同士を継ぐ縫い方として適用するのは難しいかもしれない。もう少し試行錯誤が必要だ。

必要レースのデータとしては薄いショップレースなので自作レースの場合にはあまり比較にならないし、そもそも今回一筆書きで一気に始点から終点まで縫ったので切り分けが曖昧なのだけど以下データ。

レース使用量データ
レース使用量データ

今までの作品の縫い方の使用レース平均は「1㎝当たり9.25cm」だったのに対して今作は同「13.60cm」だから1.47倍。
かなり使用量が多くてその分が見た目のボリュームになるのと、「2本紐縫い」の方はそれが裏表の厚みと穴の大きさに直結する。ここまで難しそうだと早くお薬手帳で試作してみたくなるわ。
一方トップブレードステッチも偶々だけど1㎝当たり使用量はほぼ同じ。こちらは増えた使用量は裏は1本、穴通しも1本なのですべてオモテ面の見た目部分のボリュームアップに直結してる。こちらの縫い方は他でも使いやすそうだ。

型紙3枚。それぞれ木材を失敗した結果。
型紙3枚。それぞれ木材を失敗した結果。

以上、懐炉入れ製作終了。また革が伸びてきたら留め具作成を追記する。以下原価表添付する。趣味のプログラミングに戻る。

材料費概算(スプレッドシート画像)(計¥1,552.5)

原材料費総額 ¥1,552.5
作業日数 9.0日
総重量 125.0g

0125 (木) 追記。1日中身に着けてみて意外だったというか、よく考えると当然だったのは暖かくなるのが木部側だったこと。
懐炉が露出している革の面、表側は放熱しちゃうのか全然温かくならない。
木部の方は懐炉の部分だけでなく全体がほんのり暖かくなって快適。木は中に微細な空洞があって空気を含んでいるんだと思う。
思い付きで設計したこの構造悪くなかったのかもしれん。次懐炉入れを考えるとしたら表裏の両面木で作って革で繋げると良いかも知れん。

裏面の木部。全体がほんのり暖かい。
裏面の木部。全体がほんのり暖かい。