≒ (36.875作目)ハンドストラップ二世20240330
0321 (木) 昨夜前作が終わって、ボルトがまだ到着していないので仮組なのだけど触って眺めて楽しんでいた。
すごく出来は良い。見た目は満足している。けどちょっとごつ過ぎる。完全に組んでみてからの判断が必要だが持ち歩けるか疑問。
何より眺めているとアイデアが浮かんでくる。ごつくない、シンプルなレースの縫い方も見つけててやってみたいのもある。
前作で分かったように、こういう小物だと日数は然程かからない。作ってみよう。
とりあえず今日は縫い方を試してみるのと型紙。前作は少し手を入れる部分が狭すぎたので、縦の長さを長くして、横幅は少し細くする。
今作は金属部は設定しない。その代わりボルトを多用して「金属」とする。表裏木部を並べる。
上の動画の縫い方はチェーンステッチというらしい。聞いたことがある。革にテストで縫ってみたが、想像だと裏が1本通っているだけなので弱いかもと思ったがしっかりしている。
これなら木部を革に縫い付けるには十分だろう。心配なのはレース穴の大きさ。ハンドストラップの規格(と言っても俺が勝手に決めてるだけなんだけど)の木部は5から6ミリ程度の厚み。
穴の大きさは4.5ミリが限界のようで、2本通しが限界。チェーンステッチだと同じ2本でも折りたたんだ分少し膨らむようなので通るかが懸念ポイント。
もう一つ縫い方をテストする。
こちらの動画はチェーンステッチのバリエーションというタイトルだ。確かに構造はチェーンステッチと同じでボリュームアップしたもの。
縫ってみて、俺が常用する2ミリ厚レースだとあまり美しくない。今作でなぜチェーンステッチを思いついたかというと、前作は二本紐縫いで木部を留めていて、美しいのだけど木部が隠れすぎ。
せっかくの色味があまり見えなかったから、今作は木部を活かす縫い方を考えていた。俺はレザークラフトではいつも「革×木×金属」モチーフを考えている。それぞれが主張するのは良いのだけど食い合うのは材の魅力が無駄になるから嫌。
そもそも主材料は革なのだから革は充分主張している。木部は木部でちゃんと主張しなきゃいけない。ということで今作で木部を留めるのは先のシンプルなチェーンステッチで行こう。
型紙作成。横幅は少し細くするとしていたがやめた。4㎝以下は無理がある。縦を1㎝伸ばす。前作が長さが短くて中が狭いと書いたが、狭いのはほんの少し。前作は内側にボルトが付きだしているのもあって手が入れにくい。
それを考慮すれば2㎝も拡げる必要はない。1㎝程度増やすだけで充分。縦15.2㎝だったものを16㎝にして、木部設置を9枚11.5㎝にする。裏表木部なので計18枚必要。まず型紙を作ってそのあとは木部作成を続ける。途中で寝る。
型紙作るにあたっては革の端材の在庫状況も確認しないと効率的に革が使えない。大判から切り出せば小物の型紙ならその通り取れるけど無駄が出ちゃう。
端材が微妙に型紙の大きさとズレている場合は端材の大きさ優先。例えば前作が縦長さ15.2㎝だったのは端材の長さが15.cmだったから。0.2cmだけ切り落としても使い道ないからね。
型紙が出来て使う端材はすでに目の前に揃っていて、木部切り出しから整形にあたっては革部分に宛がいながらやった方が調整しやすいという理由もあることから、型紙が出来たら予定の木部作成より先に革の切り出しを始めてしまった。ダブルショルダーの面はもう圧着までして、ハーマンハーネスは切り出し終了。
そのあとようやく木部開始。けど23時半なのでもう眠い。前作の余り、リグナムバイタの端材にそのまま使えるやつがあるのでそれを切り出したということで木部1枚終了。寝る。
0322 (金) バイトの合間を縫って作業続ける。夕食を挟んで20時過ぎには革部は張り合わせが終わり、ヘリ落とし床磨きまで両面終了。
木部も3種、黄金樟、パープルハート、ハワイアンコアが切り出し終わって、昨夜のリグナムバイタを加えて4種終了。クラロウオルナット、オリーブウッドも手掛けてて整形したら終わる。
かなり早く進んでいるけど、鬼門は木部の穴あけ穴拡げ。そこで間違いなく何枚かは割れるのでそこで足踏みのはず。
0323 (土) 昨夜少し飲み過ぎて昼に目が覚めた。所用で出かけて帰って家事をして15時。眠くて仕方がないので昼寝。目覚めて作業開始。
けどボルトが届いたので前作の最終組み立てから。ボルト止めだけなのですぐ終わったけど、夕食を挟んで原材料を計算して記録。
今作の作業は21時半から始めたので、作業日は半日だけ計上することにする。木部切り出し再開。昨夜は12種終わっていたので残りは6種。
まずはサティーネから。
0324 (日) 作業開始は9時過ぎ。昨夜は5種5枚終了。残りの1種を何にするか、並べてみて検討しよう。
ただし、前作の例からしてもこの後の穴あけ穴拡げで割れるだろうから、これで最終決定の18種ではないのだけど。
割れ前提の暫定18種目はハカランダ(ブラジリアンローズウッド)に決定。色味で選んだというより前々作で割れてしまって使えなかった端材が丁度いいサイズだから。
小さい端材からの切り出しだから、ハカランダすぐ終了。次は難関の木部穴加工に行く前に革のボルト止めをやっちゃう。今作の構造から、そこまで終わらせればストラップとしてスマホに装着できるから。試してみよう。
あ、忘れてた。さらにその前に、ダブルショルダー側の面の継いであるところのアルミ補強をやっつけよう。
アルミ補強とネジ止めがすべて終わったのが18時過ぎ。えらく時間が掛かったのは途中でネジが足りなくなって近所のコーナンに買いに行ったのもあるが、何よりネジの予備と長さをいちいち試行錯誤しながら占めていくので余計な時間が掛かる。
漸く難所の木部の穴加工開始。夕飯と入浴で抜ける以外は今夜はのんびりそれを続ける。
0325 (月) 朝、バイト前に作業。3.6ミリ径の穴拡げでチンチャン脱落。端材の都合で薄かった。続いて3.8ミリ径でハカランダ脱落。前作でも前々作でもハカランダは穴拡げで割れて不採用だった。恐らくこの材固有でクラックが入っちゃっているのじゃないかと思う。
だとするとクラックがないところにあたらない限り割れるな。けどそれはどんな作品を作ってても同じことなので、今作では成功するまでハカランダにチャレンジすることにする。
38ミリではほかにパープルハートと神代欅が脱落。まだ4ミリ径に突入していないのにもう4種脱落か。
4ミリ径では紅木が脱落。これで5種アウト。最終段階の4.5ミリ径では黒柿だけ割れた。12種類が穴拡げを通過した。再度同じ樹種で切り出しからやる。次は1ミリ程度だけ厚めに仕上げよう。
それでも再度割れた樹種は諦めて別の樹種に買える。淡色が少ない。
23時、再度の6種切り出しとリュータドリルでの穴あけまで終了。今回は少し工夫して、厚みは最終形まで削らず厚いまま穴を開けた。4.5ミリ径まで穴拡げを終えてから厚みを揃える。少しでも強度を上げるため。
ただ、材料表は作品に最終的に使用しているサイズで計上しているので、厚みを削って不要になった部分は無視している。実際の原価と誤差が出るけど、極僅かだから考えないことにする。
神代欅はどうしてもクラックが目立つので、レース穴と干渉する部分だけレジンで埋めた。完全に中の方まで埋めたわけではないので、穴拡げが終わって厚みを整形したら多分無くなっちゃうだろう。
少しだけ穴拡げを進めて途中で今日は寝る。
0326 (火) バイト前作業開始。2巡目、4ミリ径でハカランダ脱落。4.5ミリ径まで残りの5種は完走した。
癪に障るので再度ハカランダにチャレンジする。これで駄目なら樹種変える。
19時前、夕食直前まで掛かってハカランダ穴拡げ終了。4.5ミリ径まで完走した。今作で3回目で成功だが、いずれも同じ材からとった、ひとつながりの一部だった。
最後のはクラックの入り方が偶々ズレてただけだと思う。そもそもハカランダとしては破格に安い訳アリ品だった。全体に細かいクラックが入っているのだろう。
あまり小さく切り出すのは無理なのかもしれない。いつも手帳の部品で使う10ミリ厚20ミリ幅程度に加工は留めておいたほうが良いのかもしれん。
これで穴拡げは終わったので、次は全部の荒仕上げ、サイズ整形。それが終わったら最終磨きと油入れ。
0327 (水) 昨日の夜に最終磨きと油入れを始めて、今朝と昼のバイト休憩も作業して終わらせた。バイト後家事(灯油調達)を終わらせて17時過ぎから作業再開。
革の穴あけとレース準備。穴あけは前回木部を並べて目打ちをして開けたが、考えてみたら始点と終点だけ決めてあとは平均に必要な穴を並べればいいだけだから型紙は作れる。
今作はそれで行こう。
並べ方は例によって適当に決定。今回意地になって濃い色の材が割れても再チャレンジして準備した結果、淡色が少なくて色味が似通っちゃった。少し残念だけど仕方がない。それも俺のセレクションだ。
穴あけ穴拡げ、レース縫いは片面だけ進めよう。初規格、初めての縫い方だから穴位置も何も手探りだから失敗の可能性があるからね。必要レース量もチェーンステッチでどれくらい要るのかわからない。
おそらく縫う長さの倍くらい、いつものステッチ達より大分少ないんじゃないかとは思うが実際は分からない。なのでまず1辺を測りながら縫っていく。
23時過ぎに片面ほぼ縫い終わり。最後の最後に数センチ継ぎが発生したので今日はここまで。ここまでで分かったこと=反省点。
①チェーンステッチは思ったよりボリュームがある。テストでもある程度分かっていたことだけど、木部を並べて縫うと一際存在感が出る。存在感というか木部が隠れてしまう。
2筋は要らなくて1筋で充分だった。すでに木部には穴を開けてしまっているので今から変更は無理。この点は今後の反省点、今作はこういうデザインだったということで最後まで行く。
エイジングの結果見え方が変わってくる可能性もある。
②穴位置を間違えた。木部が下にズレている。これは今からでも解いて穴を開けなおして(裏張りの革は張りなおすか補強が必要だけど)、修正は可能。だけどもうこの面はこれでいい。
同じくエイジング結果で最終判断すべきと思うから。
0328 (木) 今日もバイト前に小一時間作業。昨夜の方針をもう転換。②はやり直す。裏張り補強して穴を開けなおすだけだもの。
①はまだ手付かずの面で修正する。イチから9枚木部を切り出す。すでに完成している9枚は他で使えるだろう。
まずは昨夜ほぼ縫い終わっているやつを解いてレースの長さ測定。それでチェーンステッチの必要レース確定。
そのあと裏張りを補強、圧着して放置。木部の切り出しを進める。
チェーンステッチを解くのって簡単。終点から引っ張れば抜けていくってやってたら木部が1枚飛んでってどっかになくなった。青朴の一枚だ。
少し探して諦めた。いつか出てくるだろう。代わりにバックアイバールを使おう。穴を開けてしまっているやつからより取り見取りだ。
その代わり、再度切り出しからやる分に青朴入れよう。
バイト後整骨院通院と家事を少しやって17時半に作業再開。圧着が終わっているので木部再切り出しより先に片面の穴あけとレース縫いをやってしまおう。
夕食終わって作業再開後にはレース縫い終わる勢いだったけど、継ぎが発生したので圧着待ち時間に木部切り出しも並行して始める。
先の木部準備から学習したので、粗く切り出して置いて、穴あけ穴拡げが終わってからサイズ調整をすることにする。
23時直前、レース縫い再開していたら黒柿割れた。写真片方の一筋だけ先行して縫い終わっていたのが無駄になった。黒柿が終点から4枚目なのでそこまで解いてやり直し。
今日はその途中で寝る。解いてたらサティーネも割れた。この縫い方は俺の作り方には向いてない。採用するのはこれが最後かもしれん。
0329 (金) 朝イチバイト前、継いであったレースでレース縫い続き。すぐ縫い終わった。
ここまでのレース使用量を多めに見積もって計算してもだいぶん今までの縫い方と比べて少ない。当たり前か。
チェーンステッチの問題は、根本的にレース縫いで用いる縫い方ではないので、レースの表裏の制御が難しいこと。
縫い進めて目を締めるときに裏返ってしまう。俺は早い段階で裏表を揃えることは諦めた。この後裏返って床が表に出てしまっているのもひっくるめて全体をトコノールで磨いて仕上げる予定。
今日はこの後バイトと家事の合間を縫って木部の再切り出しを進めていく。
縫い終えた片面をトコノール磨きしていたら最上段の神代欅が割れた。前作同様に裏張りで留まっているので外れはしない。今作はこれで良しとする。
しかし、やはりこのチェーンステッチという縫い方は俺の常用する太いレースには向かない縫い方なのかもしれない。エイジング結果が面白くないようなら別のステッチで縫い直そう。
昼に俺の好きな榧が届いた。早速切り出しして使う。
夕食前、18時半過ぎに切り出し終了。夕食後穴あけ穴拡げ開始。いや、それより前にレース準備しよう。使用する長さは100㎝ほどとわかっているので継いで圧着しておこう。
23時過ぎ、穴加工終了。4穴じゃなくて2穴だけなので割れる気配もなし。やはりチェーンステッチは一筋が正解だった。
眠くなるまで1枚ずつサイズ整形。途中で寝る。
0330 (土) 朝10時開始。買い物と昼飯挟んで14時にサイズ整形終了。最終仕上げ、油入れと磨きに入る。
17時、他のこともしながらのんびり作業を続けて木部の最終仕上げが終了。次は革の穴加工、最終磨きだけどその前にレースの圧着を確認しておく。
革部の仕上げが終わったら縫い始めるからね。
18時半、全ての準備が終わって縫い始める。すぐ夕食で抜ける。夕食後再開。21時に縫い終わり。一筋だから簡単というだけでなくこの設計が構造も無理がないので縫いやすい。
結果、しっかり木部は止まっているし見た目も木部もよく見えて良い感じ。けど先にできた片面とのギャップは面白い。
なお、今作は面同士の取り付けはネジ止めだけなので、付け外しは簡単にできる。別の片面を作って組み替えることもできる。
原材料費総額 ¥3,470.70
作業日数 9.5日
総重量 156.0g
20241015(火)追記
結局使わなかった。正直言って失敗作。けれどチェーンステッチの理解は進んで次作(三世)に活かされているとは思う。